波動歯車装置の特徴を列挙する。 1.縦方向の波動を行い対称点の2点で他と接触する構成。 このため波動歯車装置には2箇所の頂点が生じるため波動は2周期となる。 2.2箇所の頂点を有するローター形状を楕円(オーバル)の軸受けに形成。 これにより軸受けの外輪は常に変形を強制されストレスが溜まる構造。 3.頂点が二箇所の楕円であり一回転で2周期の二歯をずらす必要があるため歯数が二倍。 カム形状であれば波動は1周期であり一回転で一歯をずらすだけで良いため歯数は半分。 4.絶えずストレスにさらされる軸受けの外輪に直接歯型を形成する事は難しい。 そのためカップ型のスプラインに外歯を形成して外歯歯車の破断を回避している。 5.一回転で波動2周期分の歯数を得るため必然的に歯間と歯高が小さくなる。 これに対応するため歯幅を広くとって歯列に掛かる応力に対応している。 6.外歯を形成したカップ型のスプラインに撓みを生じさせるためスプラインは柔構造である。 それに対する波動発生器の外輪は高剛性ではあるが撓みを生じるため弾性も重要。 7.波動歯車装置の波動は縦(ラジアル)方向で噛み合い方向も縦(ラジアル)方向の機構です。 固定歯車と歯数の異なるカップ型のスプラインに噛み合わせスプラインに生じた差動で力を得る。 8.固定歯車の対称点2点とカップ型のスプラインの歯型2点に噛み合わせ機構を安定させ反トルクを受ける。 固定歯車のラジアルの回転面に総ての応力が集中しており薄いウェーブジェネレータの弾性と強度が主。
これに対し本発明(揺動と秤動に拠る差動を用いた増減速機)の構成での差異を列挙する。 1.横方向の波動を行い固定(中央)歯車の対称点の2点で他と接触する構成。 このため固定(中央)歯車には2箇所の頂点が生じるが対称点それぞれの波動は1周期。 2.2箇所の頂点を有するローター形状を正円の軸受けに2条の歯列を形成。 これを傾斜軸に取り付けることにより正円の2条の歯列が固定(中央)歯車の対称点2点に噛み合う。 3.正円の軸受けに形成した2条の歯列が各々一回転で1周期で固定(中央)歯車と噛み合い同期する。 傾斜軸に取り付けられた自由歯車と噛み合う固定(中央)歯車とに歯数差は無く出力歯車が少ない。 4.波動歯車と同様に軸受けの外輪に形成された自由歯車は高い剛性と真円に形成した2条の歯列。 このため回転時に外輪の撓みは不要で各々の歯列が固定(中央)歯車の対称点に噛み合う。 5.横方向の波動を一回転で1周期発生するため必然的に歯間が広く歯高が高く逆に歯幅が取れない。 このため噛み合い点は点荷重となるが歯間が広く歯高が高いため歯車の強度は高くなる。 6.本発明の可動部分は総て円運動しており撓ませる必要が無いため高剛性の剛構造で構成される。 これにより軸受けの外輪である自由歯車に直接2条の歯列を形成する事が出来て高強度となる。 7.本発明の波動は横(アキシャル)方向で噛み合い方向は縦(ラジアル)方向にした機構です。 固定歯車と歯数の同じ自由歯車を介して出力歯車と噛み合わせ出力歯車に生じた差動で力を得る。 8.固定歯車の対称点2点と自由歯車の歯列2条を噛み合わせ機構を安定させ耐力歯車で反トルクを受ける。 出力歯車と点対称に配置した耐力歯車や固定歯車の対称点2点と噛み合う自由歯車の歯列2条で応力分散。